18年度三重県警察歯科医会定期総会及び第4回三重県警察医研修会
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7月29日(日)、津市内で三重県警察歯科医会の18年度定期総会が開かれました。
15年7月の設立以来4度目となります。今年は6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨等の災害が相次いでいますが、この日は前日の28日(土)に台風12号が三重県に上陸し暴風による被害も出る中での開催となりました。冒頭の挨拶に立った三重県警察歯科医会・辻哲会長は、西日本豪雨で歯科所見による身元確認が11件あったことに触れたうえで、三重県でもこうした事態を想定した災害対応体制を整備するために熊谷理事を中心に郡市会単位での研修を進めていることを報告し、引き続き協力を求めました。議事では、17年度事業報告及び決算、18年度の会費並びに事業計画及び予算に関する議案が上程され、いずれも原案通り可決されました。事業では警察歯科医活動用ベストの配備を進める他、2年ぶりに実践的な歯科所見による身元確認訓練を開催する方針が計画が承認されました。12月2日(日)に津南署の施設で実施する予定です。総会の後半には警察歯科医会の熊谷理事と浜瀬理事が歯牙鑑定を行った事案3件について、鑑定の様子を記録した動画も交えて報告しました。
その後、医科の警察医も加わって、三重県医と三重県歯の共催による第4回三重県警察医研修会が開かれました。三重県警・難波本部長、三重県医・松本副会長、三重県歯・田所会長が来賓として挨拶。それぞれに1986年から続く医科・歯科揃っての警察医研修の意義を強調しました。研修ではまず三重県警察本部刑事部捜査第一課・須川佳男上席検視官が「大規模災害における死体取扱業務〜東日本大震災出動を顧みて〜」と題して、自身が参加した東日本大震災の広域緊急援助活動について報告。宮城県石巻市及び東松島市の遺体安置所における身元確認業務の実際について多くの画像を供覧し、改めて未曽有の大災害であったことを思い起こさせました。特別講演では長崎大学医学部法医学教室の池松和哉教授が「長崎県における死因究明の体制」と題して、2011年に長崎大学に設置された死因究明医育成センターの活動について詳しく紹介しました。通常、異状死体の検案は外表検査のみで終わることが多いのですが、同センターでは遺体専用のCTが設置され24時間体制で稼働。しかも死後画像診断を放射線科の専門医が読影に当たり、剖検の必要性を判断しているとのこと。毒薬物スクリーニングや生化学検査も実施され、より正確な死因究明に取り組んでいるそうです。さらに小児の突然死に対する全例解剖や包括的DNA検査の導入、救急救命センターとの連携等、先進的な取組みが数多く紹介されました。

 

 

三重県警察歯科医会:18年度第1回理事会
 5月31日(木)、三重県警察歯科医会理事会の18年度第1回理事会が開かれました。辻会長は冒頭の挨拶の中で今年度、三重県警と合同で実践的な大規模災害時身元確認研修会の開催する方針を示しました。三重県警捜査一課・須川佳男上席検視官は、歯牙鑑定実施状況(17年中)について報告。検案数及び歯牙鑑定による身元特定件数が増加傾向にあることをグラフで示しました。また今年度の検視専科入校者に対する法歯学教養で熊谷理事が講師を務めたことも報告されました。議事では、上程された第1〜7号議案が全て可決されました。理事会後には浜瀬理事から症例報告が行われました。7月29日(日)開催予定の総会後に症例検討会を実施する予定です。

 

 

平成29年度三重県警察歯科医会定期総会及び第3回三重県警察医研修会




7月30日(日)、津市内で三重県警察歯科医会の平成29年度定期総会が開かれました。
27年7月の設立以来3度目の開催です。今年は歯科医師会の役員改選年度でもあり、三重県警察医を委嘱された顔ぶれも一部入れ替えがありました。議事では、理事及び監事の改選についての議案が上程され、理事8名と監事2名を選任。辻哲氏(桑員)が警察医会会長に再任され、新たに大杉和司氏(津)が副会長に就任しました。その他、28年度決算及び29年度予算、同事業計画等が審議され、いずれも原案通り可決されました。併せて熊谷理事による症例報告会が行われ、最近の検案事例について紹介された他、実際の検案の様子を記録した動画が供覧されました。
その後、医科の警察医も加わって、三重県医と三重県歯の共催による第3回三重県警察医研修会が開かれました。冒頭、三重県警本部・奥野正義刑事部長、三重県医・青木会長、三重県歯・田所会長がそれぞれ挨拶に立ち、昭和61年から医科歯科合同で研鑽を重ねてきた三重県警察医会が、2年前に発展的解消を迎えた後も、県警・県医・県歯が"顔の見える関係"を引き継いでいることの意義を改めて確認しました。
研修としては、三重県警刑事部捜査第一課・山崎正法上席検視官が三重県における死体取り扱い状況について講演した後、国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ研究主幹の坂上和弘氏が自然人類学の一つである「法医人類学」についての特別講演を行いました。国内でも数少ない法医人類学の専門家である坂上氏は、自らを骨を偏愛する研究者と位置付けつつ、1972年に法医人類学会が設立されて以降の興味深い学術エピソード等を紹介。残された人骨から様々な情報を読み取る鑑定の手順についても豊富な事例を示しながら詳しく解説し、2時間にわたり巧みな語り口で受講者を引き付けました。

 

 

検視専科/熊谷理事が三重県警察学校で歯科について講義

 5月25日(木)、三重県警察学校で三重県警察学校で検視実務専科教養の歯科に関する講義が行われ、三重県警察歯科医会の熊谷理事が講師を務めました。
受講者は各警察署から捜査係長各1名と警察本部任官検視係の計19名、海上保安庁第四管区刑事課から検視官2名が参加しました。歯科の「検視専科」は、平成144月に新任捜査研修(60分)から始まり、1518年度には120分授業×2コマ、19年以降は803コマの講義が実施されています。講義内容は歯科の基礎的な知識教養から、ネグレクト、法歯学の重要性にまで及び、口腔内所見の筆記実習も実施しています。検視専科に歯科が携わっているのは全国でも珍しく、近県では福井県が同様の講義を行っています。

 

三重県警察歯科医会:平成29年度第1回理事会
 5月11日(木)、三重県警察歯科医会の平成28年度第1回理事会が開かれました。
辻会長は冒頭の挨拶の中で、昨年12月に開催された大規模災害時身元確認研修会について、実践的な内容だったことを評価。今後も継続的に開催していく方針を示しました。三重県警捜査一課・山崎検視官からは、歯牙鑑定実施状況(平成28年中)について、検案数及び歯牙鑑定による身元特定件数が増加傾向にあることが報告されました。議事では、上程された第1〜8号議案が全て可決され、今年度の検視専科入校者に対する法歯学教養の講師に熊谷理事が選任されました。また教養用ビデオカメラの活用で理事会後、総会後に症例検討会を実施する予定です。
 
全国7地区平成28年度災害歯科コーディネーター研修会




 平成28年12月4日(日)、午後1時から三重県歯会館で、日歯の主催による全国7地区 平成28年度災害歯科コーディネーター(災害歯科保健・身元確認)研修会が開かれました。
 この研修会は24年度からスタートしたもので、三重県での開催は初めて。県内の歯科医療関係や警察関係者等、約130名が参加しました。
  研修会では、まず日歯・小玉剛常務理事が「総論」として▽災害歯科コーディネーターの役割と位置付け▽災害時の行動計画▽歯科診療情報の標準化―等について概説しました。次いで岩手県歯・大黒英貴専務理事が「災害時における歯科医師会の対応」と題して講演。東日本大震災時の経験について時系列に沿って詳細に解説し、震災対応のポイントとして初動から十分な情報収集を行い、行政との連携を円滑にするとともに、状況変化に的確に対応すること等を挙げ、併せて歯科医療の確保には診療所の復旧が不可欠であること、保健・福祉の連携に歯科が寄与できること等を説きました。続いて、日歯の災害歯科コーディネーターとして28年熊本地震に派遣された東京医科歯科大学・中久木康一助教が「災害時歯科保健医療における口腔アセスメント」について講演。災害関連死のデータから、施設や在宅の高齢者においてリスクが高くなることを指摘。平時から地域包括ケアシステムを整備し、BCP(事業継続計画)を確立しておくことが災害時の準備になると述べました。また、災害時のニーズを評価する迅速なアセスメントが必要であることを強調し、熊本地震での「歯科版避難所アセスメント票」の活用について詳しく紹介しました。最後に日医で災害救急医療を担当している石川宏己常務理事が登壇。東日本大震災を振り返り、想定外の災害に備える意識が必要であると述べるとともに、日医の災害医療チーム(JMAT)について紹介。日歯とのさらなる連携が必要との認識を示しました。
 
大規模災害時における歯科所見からの身元確認研修




 平成28年12月4日(日)、午前10時から三重県歯会館で「大規模災害時における歯科所見からの身元確認研修」が実施されました。
 三重県歯では平成23年の東日本大震災の際に、身元確認作業の協力するため8名の会員が被災地に派遣されましたが、今後、三重県においても南海トラフ地震等、津波を含めた大規模災害への備えが求められていることから、今回、三重県歯及び三重県警察歯科医会、三重県警の協力のもとで実践的な研修を企画。警察歯科医40名に郡市会担当者9名、警察関係者23名を加えた70名余りが参加しました。
  研修では、日歯の災害時対策・警察歯科総合検討会議の杉浦隆彦委員が、▽身元確認の流れ▽身元確認コーディネーターの役割▽事前準備▽デンタルチャートの作成▽生前記録との照合作業―等について講演。並行して身元確認作業の見学を行いました。会場内に遺体安置所での受付から検視・検案及び歯科所見の作成、遺体安置から遺族対応までの流れを模擬的に再現。@土砂災害A圧死B溺死―の3ケースを想定して、警察歯科医会理事及び県警担当者がデンタルチャート作成、口腔内写真撮影、X線写真撮影を実演し、東日本大震災の身元確認作業にも従事した熊谷理事が被災地での経験も踏まえて解説しました。

三重県警察歯科医会定期総会/警察医研修会も同日に
 平成28年7月31日(日)、津市内で三重県警察歯科医会の平成28年度定期総会が開かれました。 昨年7月の設立総会以来、2回目となります。
  三重県警察歯科医会の辻会長は冒頭の挨拶の中で、日歯が4月に発表した都道府県歯と都道府県警の合同研修・訓練の実施に関する指針について触れ、これを受けて三重県歯でも今年12月に県警との合同訓練・研修を実施すると述べました。三重県警・森元本部長と三重県歯・田所会長がそれぞれ来賓として挨拶しした後議事に移り、27年度の事業報告及び決算、28年度の事業計画及び予算等が承認されました。警察歯科医会総会終了後には同会場で医科の警察医も含めた平成28年度三重県警察医研修会が開かれました。これは三重県警の主催、三重県医師会と三重県歯科医師会の共催によるもので、27年3月まで「三重県警察医会」としてともに研鑽を重ねてきた歴史を活かし、医科・歯科合同での研修会を継続することとしたものです。今回は三重県警本部捜査第一課・山崎正法上席検視官による講演「三重県における死体取扱状況」 と東海大学医学部・大澤資樹教授による特別講演「在宅死の現状と検案業務」が行われました。検案業務については、災害時の多数遺体の身元確認に加え、独居高齢者の孤独死に係る検案も課題となっています。大澤教授は講演の中で東京都監察医務院及び山形県での疫学調査をもとに孤独死の定義や統計的な特徴について説明。また、我が国において特徴的な入浴中の急死についても解説しました。

 

 

中部管区広域緊急援助隊合同訓練
 平成27年11月25日(水)、四日市市内で中部管区広域緊急援助隊合同訓練が実施され、来賓として三重県歯科医師会・田所会長と三重県警察歯科医会・辻会長が出席し、歯科所見による身元確認訓練には熊谷理事と陣田参与が参加しました。
  この訓練は中部管区警察局が毎年持ち回りで開催しているもので、三重県歯及び三重県警察歯科医会の参加は今年が初めてです。訓練内容は、中部6県(三重・愛知・岐阜・富山・石川・福井)の警察本部と関係団体約600名が南海トラフを震源とするマグネチュード8.0の地震を想定し、被害場所から要救助者の救出訓練、遺体の搬送、身元確認への流れを各機関と連携し確認しました。現在、各市町では遺体検案場所の想定が課題になっていますが、今回の訓練で各機関の役割を理解し合い協働連携がスムースにできたことで、どの場所に設営されても検案作業が実施できるようになったと感じられました。
 
第1回三重県警察歯科医会総会
 平成27年7月26日(日)、三重県警察歯科医会の設立総会が行われました。
 三重県では昭和61年に医科と歯科の警察医が合同で「三重県警察医会」を設立し、長年にわたり研修を重ねてきましたが、今年3月末を以て会自体は"発展的解散"となりました。これを受けて三重県歯では、遺体の身元確認で警察に協力する警察医を中心とした会を新たに立ち上げることとし、この日、津市内で設立総会が開かれました。
  冒頭、三重県警・森元本部長と三重県歯・田所会長が来賓として挨拶。田所会長は日航機事故を契機として活動が始まった「三重県警察医会」の歴史を振り返ったうえで、「東日本大震災の経験を踏まえ、予想される南海トラフ地震に備えるためにも、今後は医科と歯科が連携を保ちつつ、それぞれの専門性を活かしていきたい」と、新しい警察歯科医会が目指す方向性を示すとともに、警察歯科医会を中心に法歯学研修の充実を図ることや大規模災害に対応するための郡市歯科医師会単位での体制整備をこれからの課題と位置付けました。
  議事では、会の名称を「三重県警察歯科医会」とするとともに、三重県警から警察医として嘱託を受けた歯科医師(43名)を個人会員、三重県歯を法人会員として会を組織することや、県警内に事務局を置くこと等を定めた会則を決議しました。続いて理事8名と監事2名を選任。直ちに第1回の理事会を開き、辻哲氏(桑員/前三重県歯副会長)を会長に、中井孝佳氏(尾鷲/現三重県歯副会長)を副会長に選出しました。その後、辻会長の進行の下で▽27年度会費▽同事業計画▽同歳入歳出予算―等を決定。三重県警・森元本部長と三重県歯・田所会長が顧問を、三重県警本部の濱口刑事部長ら4名に、長年にわたり三重県警察医会で歯科医師として中心的な役割を果たしてきた陣田清士氏(四日市)を加えた5名が参与を委嘱されました。
 
三重県警察医研修会
 平成27年7月26日(日)、三重県警察医研修会が開かれました。
 これは三重県警の主催、三重県医師会と三重県歯科医師会の共催によるもので、この3月まで「三重県警察医会」として研鑽を重ねてきた歴史を活かし、医科・歯科合同での研修会を継続することとしたものです。
 新たな体制の下での最初の研修会となったこの日は、冒頭、三重県警本部・濱口刑事部長、三重県医師会・青木会長、三重県歯科医師会・田所会長がそれぞれ挨拶に立ち、今後も緊密な連携の下で身元確認や大規模災害への対応に当たっていく姿勢を示しました。研修としては、まず三重県警察本部刑事部捜査第一課の宮崎由司上席検視官が「三重県における死体取扱状況」と題して講演。死体取扱数の推移や死亡種別、身元不明死体の判明手段等についてのデータを報告。特別講演では香川大学医学部人間社会環境医学講座法医学の木下博之教授が「香川県における高齢者の剖検例の検討」と題して、剖検から見た高齢者事例を紹介・分析しました。65歳以上の高齢者の割合が25.9%(26年集計)という超高齢社会である日本では、独居高齢者のいわゆる「孤独死」等、検視の必要な異状死が増加しており、死因究明が難しい事例も少なくないとのこと。「多死社会」に向かう中、ここにも大きな課題があることが示される研修会となりました。