研修会報告

  • 第13回みえ歯ートネット研修会

     1月22日(日)、第13回みえ歯ートネット研修会がWeb形式で開催され64名の方が視聴しました。13回目となる今回は東京都立小児総合医療センター歯科部長 小方清和氏が「子どもの歯科訪問診療ー医療的ケア児の見方と実例について」と題して講演。三重県にも200名以上いる医療的ケア児に対し、小児在宅歯科医療を地域で進めていくヒントを実例を交えながら紹介しました。特に歯科疾患が発症する前に疾病予防を行うことが重要であるが、医療的ケア児等では十分に実施されていないのが現状であり、1歳半健診や3歳児健診などの早期に歯科訪問診療を実施して疾患治療より疾患予防に目を向ける必要があると説きました。さらに、会員が安心して訪問診療を行えるためにの後方支援病院の必要性、連携強化について指摘しました。三重県歯科医師会も令和3年4月改正の「みえ歯と口腔の健康づくり条例」に医療的ケア児等に対する歯科の環境整備が明記されたことを受け、令和5年度に小児在宅歯科医療体制整備協議会(仮称)の立ち上げを計画しています。

    (2023.01.24)

  • 第12回みえ歯ートネット研修会

     2月20日(日)、第12回みえ歯ートネット研修会がハイブリッド方式で開かれました。冒頭、大杉会長の挨拶の後、「医療的ケア児と家族のトータルケア」と題して小児・AYAがんトータルケアセンター センター長 岩本彰太郎氏が講演。▽重症心身障害児(重症児)と医療的ケア児の違いと現状▽医療的ケア児を含む重症児の基礎疾患と主な合併症(呼吸を中心に)▽歯科医との連携の在り方とその重要性―等を説明し、また医療的ケア児の地域ネットワークについても紹介がありました。続いて「医療的ケア児の歯科診療」と題して三重病院歯科・口腔外科 歯科口腔外科医長 松村佳彦氏が講演。三重病院における医療的ケア児に対する歯科診療の症例提示(外来症例、入院症例)から、にじいろネットの紹介まで詳述しました。三重県でもこの5年間で医療的ケア児が1.2倍に増加しているため、多職種との連携を構築し、医療的ケア児の歯科診療に対応できる歯科医師や歯科衛生士を養成することが今後必要であると考えられます。

    (2022.02.22)

  • 第11回みえ歯ートネット研修会

     2月16日(日)、第11回みえ歯ートネット研修会が開かれました。11回目となる今回は梅花女子大学口腔保健学科・森崎市治郎教授が「障害者の歯科保健・治療と地域連携」と題して講演。障害児・者の歯科診療を困難にさせている理由や診療に適応困難な障害児への対応、身体抑制法及び薬物的アプローチ等、講師の経験に基づいて動画を交えながら紹介。発達障害児・者、医療的ケア児、障害者の高齢化等を含め、多なスペシャル・ヘルスケア・ニーズ(SHCN)のある障害児・者に対して、歯科診療を安全に行うために必要な対応法と考え方が説明されました。最後に歯科大学のない三重県において、歯科医師会と行政との連携事業で医療・福祉施策の一環として運営されている障害者歯科センターが地域の歯科診療所の連携を進めていくことの重要性が改めて指摘されました。

    (2020.02.16)

  • 第10回みえ歯ートネット研修会

     2月28日(木)第10回みえ歯―トネット研修会が開かれ、歯科医師・歯科衛生士の他、施設職員や学校職員も含め103名が参集しました。今回は愛知県心身障害者コロニー中央病院から歯科医長の加藤篤氏と歯科衛生士の田中恵氏を講師に迎えての開催。まず加藤氏が「愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科の現状~小児・障害者の摂食嚥下障害を中心に~」と題して講演し、多くの重症児(者)は生まれつき口腔機能発達不全症を伴い、「食べること」に大きな問題を抱えていることを示したうえで、そうした患者へのアプローチのために設立された摂食嚥下チームの活動について説明。特に主治医と連携し栄養路の確保(胃ろう等)を行ったうえで、姿勢・呼吸・嚥下の3点に着目しつつ摂食嚥下訓練を行っていることを強調しました。また講演中、嚥下内視鏡(VE)の動画により実際に障害児が唾液や食物を誤嚥している様子が示され、食形態の重要性について理解が深まる内容でした。続いて「食べることを通じて保護者・多職種とのかかわりを考える」と題して田中恵氏が講演。田中氏は障害児の成長・発達は個人差が大きく、摂食能力や意欲も違いが大きいため、個々の成長に寄り添った介入の必要があると述べ、症例報告では、経口摂取に対する親の希望に寄り添い多職種との連携して成功した事例と、身体の成長に伴い側弯の悪化により食物の通過障害を来し、経口摂取が難しくなった事例を紹介しました。二つの講演の後には、三重県立聾学校養護教諭・山中千聡氏が「聾学校における歯と口の健康づくり」と題して実践発表。山中氏は視覚支援の工夫に力を入れており、▽歯科健診時にレーダーチャートで自分のリスクを診断する▽オリジナルイラストを用いた歯ブラシの当て方やフロスの使用法等、分かりやすい教材を用いる▽歯垢染色及び写真撮影により口腔清掃に対する意識の向上を図る―等の取組みが紹介されました。

    (2019.02.28)

  • 第9回みえ歯ートネット研修会

     2月8日(木)、第9回みえ歯ートネット研修会が開かれ、130名の歯科医療・介護・支援団体・ボランティア団体・関係者が参集しました。今回は大阪府発達総合療育センターから講師を迎え、「発達障がいの方への歯科支援」をテーマに、中村由貴子歯科医長が歯科治療編、米花佳代子歯科衛生士科長が口腔保健編として、それぞれ講演しました。中村医長の講演は発達障害の分類・診断基準の説明から始まり、治療方針は①治療の緊急性 ②本人の適応(障害の程度・性格等) ③保護者のニード(療育方針・性格等)―をバランスよく考えて決めるべきであると説き、その具体例を提示しました。米花歯科衛生士長は歯科衛生士の目線から、ブラッシング指導の方法について、保護者による仕上げ磨きと本人磨きに分けてそれぞれのポイントを解説。今回は歯科衛生士の参加も多く、質疑応答では障がい者に対する臨床に即した悩みが多く寄せられました。

    (2018.02.14)

  • 第8回みえ歯ートネット研修会

     2月9日(木)、第8回みえ歯ートネット研修会が開かれ、65名の歯科医療・介護・支援団体・ボランティア団体・関係者が参集しました。今回は行政及び小児医療の専門家がそれぞれ講演。前半は三重県健康福祉部障がい福祉課・田中馨班長が「障がい者施策の概要について」と題して、障害者総合支援法に基づく三重県の障がい者施策と障害者差別解消法の概要について解説。全体像が把握しづらい行政のサービスの仕組みや障害福祉サービスの流れを知ることができました。後半は三重大学医学部附属病院小児トータルケアセンターの岩本彰太郎センター長が「医療的ケアを必要とする子どもと家族のためにできること」と題して、医療的ケア児の在宅療養の現状と特徴や、医療的ケア児と家族のための在宅支援体制整備の実際について講演。新生児集中治療室(NICU)から在宅ケアに移行した実際の症例が貴重な映像を交えて紹介されました。

    (2017.02.16)

  • 第7回みえ歯ートネット研修会

     2月21日(日)、第7回みえ歯ートネット研修会が開かれました。前半は歯科医師・歯科衛生士を対象として、朝日大学歯学部口腔病態医療学講座障害者歯科 学分野の玄景華教授による講演「障がい児・者の嚥下障害とリハビリテーション」が、後半には障がい児の保護者や学校・介護・福祉関係者も含めた一般向け研 修として三重県立こども診療センターあすなろ学園の西田寿美園長による講演「子どもの育ちに必要な支援とは」が行われました。玄教授は朝日大学で教鞭と執 るかたわら、障がい児から要介護高齢者までの歯科治療や口腔ケア、摂食・嚥下リハビリテーションに取り組んでおり、今回の講演では摂食嚥下障害に対する評 価法や検査目的及びリハビリテーションの導入のポイントが、嚥下内視鏡検査・VEや嚥下造影検査・VF等、貴重な映像記録を使用して分かりやすく解説され ました。外から見えない摂食嚥下障害を内視鏡や造影検査で可視化することにより、呼吸状態や唾液誤嚥が把握でき、摂食支援の訓練法を組み立てる一助になる ことや、その適応と禁忌についても示されました。西田園長は小児(子ども)診療センターあすなろ学園で児童精神科臨床に従事しており、これまで経験してき た「自閉スペクトラム症」「知的障がい」の症例説明をもとに、その対応の基本から治療における療育内容や目的及び経過を紹介しました。

    (2016.02.23)

  • 第6回みえ歯ートネット研修会

     2月22日(日)、第6回みえ歯ートネット研修会が開かれ、前半は会員向けの研修として、松阪市すずき歯科クリニック・鈴木俊行院長(松阪地区歯科医師会会員)が『中途障害者への歯科的対応』と題して講演。脳梗塞や糖尿病、パーキンソン病等、歯科医師が日常で頻繁に出会う基礎疾患を有する患者を治療する上での注意点や対応等についても解説しました。後半は一般向け研修として、津市うめもとこどもクリニック・梅本正和院長が『私が「子ども」「子育て」から学んだこと』と題して、すぐに泣き止む子と泣き続ける子の違いから貧困と虐待の問題、三重県における乳幼児・児童の窓口負担金やクレーマーの心理まで、幅広いテーマについて講演しました。

    (2015.02.25)

  • 第5回みえ歯ートネット研修会

     1月26日(日)、第5回みえ歯ートネット研修会が開かれました。今回は2部構成の企画で、第1部は主に歯科医師・歯科衛生士を対象として平塚市開業の芳賀定氏による「障害者歯科診療時の注意点と対応の実際」について、第2部は障害児の保護者や学校、介護、福祉関係者も含めた一般向け講習会として特別支援教育ネット代表・小栗正幸氏による「指導が難しいと言われてしまう子どもへの支援の実際」についての講演が行われ、約130名が聴講しました。
     芳賀氏は東京都立心身障害者口腔保健センターでの障害者歯科医療についての豊富な経験を持ち、現在も都内や神奈川県下の口腔保健センター等の指導医を勤める第一人者。今回の講演では「障害者医療は人間医療の原点」であると位置付け、障害者歯科医療を成功させるためには「疾病特性」と「個体特性」、さらには障害児を持つ親の心理を理解することが重要であると強調しました。また、後半にはTell-Touch-Show-Doや10カウント技法等の行動療法の実際について治療風景を撮影した映像を交えて紹介される等、実践的な講演となりました。
     小栗氏は法務技官として非行少年等の資質鑑別に従事した経験をもとに、現在は特別支援教育ネットの代表を務める特別支援教育士スーパーバイザー。講演では、指導困難な子どもたちへの支援に当たっては「反論・説諭」や「傾聴・受容」等の対応では限界があることを示し、子どもたちの「決めつけ・こだわり」「暴言」等に対して真っ直ぐに向き合うのではなく、あえてポイントをずらした上で肯定的フィードバックを与える"その場しのぎのスキル(=反抗挑戦的言動への即時的対応)"が有用であると説きました。

    (2014.01.26)

  • 第4回みえ歯ートネット研修会

     11月3日(土・祝)、第4回みえ歯ートネット研修会が開かれました。今回は岡山大学病院小児歯科講師の岡崎好秀先生に「私の出会った子ども達~明日から役に立つ障害児の歯科診療~」と題して講演していただきました。巧みな話術とマンガも活用したスライドで構成された楽しい内容で、会場に集まった130名あまりの聴衆はたちまち引き込まれ、2時間の講演があっという間でした。お話の中では障害を持った子どもを含めコミュニケーションの取り方等について患者の視点に立つことの重要性を強調されたことや、「口から食べることの意義」につおいて独自の視点から紹介されたことが印象に残りました。なお、講演に使用された各種の資料はインターネットにも掲載されており、それぞれ活用してほしいとのことでした。

    ●ドクター岡崎のおもしろ歯学
    http://leo.or.jp/Dr.okazaki/

    (2012.11.06)

  • 第3回みえ歯ートネット研修会

     2月19日(日)、第3回みえ歯ートネット研修会が開かれました。今回は障がい児者の団体の方や、保護者も対象ということで、長崎県口腔保健センター長の長田豊先生に講演をお願いしました。前半は、「長崎県における障害者歯科保健医療の現状と課題について」というテーマで、センターでの現況、離島などへの障害者歯科巡回バス、障害者歯科ネットワークなどについて紹介していただき、後半は「自閉症患者への対応」として、自閉症についての基礎知識から具体的な治療例、特に視覚ツールを用いた方法などを紹介していただきました。特に視覚ツールについては長崎県口腔保健センターのホームページhttp://www.nda.or.jp/center/visualsupporttool2.htmlより無料でダウンロードできるのでご利用くださいとのことでした。

    (2012.02.23)

  • 第2回みえ歯ートネット研修会

     1月22日(日)午後、2回目となる「みえ歯ートネット研修会」が開かれました。今回は松本歯科大学障害者歯科学講座・松尾浩一郎准教授を講師に迎えて「歯科は摂食・嚥下障害になぜ関わり、どのように対応するべきか?」という演題で講演していただきました。摂食・嚥下障害については、これまで介護予防研修会を通じて日大歯学部・植田耕一郎教授や藤田保健衛生大学・藤井航助教らによる講演を数多く実施してきましたが、今回は障害者歯科の視点から改めてこれを見直す内容となり、みえ歯ートネット協力医にとっても大いに参考になるものでした。

    (2012.01.24)

  • 平成22年度みえ歯ートネット研修会

     1月30日(日)、今年度のみえ歯ートネット研修会が開催されました。
      みえ歯ートネットは、障がいのある方に安心して歯科治療を受けていただけるよう昨年立ち上げられ、地域の歯科診療所と三重県障害者歯科センターの連携に加え、福祉施設での歯科保健指導や歯科関係職種の知識の向上を図るための研修会を積極的に行っています。この日の研修会には約120名が参加。講師に三重県立草の実リハビリテーションセンター所長の二井英二先生を迎え「肢体不自由児の現状と治療」の演題で、全国の肢体不自由児施設の現状から、対象疾患の解説、治療内容等について詳しく講演していただきました。

    (2011.01.30)