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歯のオアシス~PARTⅠ~ 甘い疑惑 ケアで断つ

バレンタインにはチョコレート。かつてはチョコレートとかお菓子と言えば、虫歯というイメージでしたが、今は皆さんのプラークコントロールが浸透していることから「食べたら磨こう」で大丈夫ですね。でも、虫歯の痛みはいつの時代でも耐え難いものです。

昔はその原因が全く分からなかったので、歯が痛くなるという現象は不安を通り越して、恐怖でもあったことでしょう。虫歯の原因に関する最も古い記述は、中国の殷の時代に書かれた甲骨文字の中に見られます。

「王の歯を疾めるは、これ虫なるか、これ虫ならざるか」という意味のことが書かれており、歯を食う虫がいたために虫歯になると考えられていたのです。隋の時代に書かれた「諸病源候論」では、歯を食う虫について「体長が六―七分で黒い頭」と具体的に示されています。

歯の中の神経を虫だと思い込んでいたようです。西洋では、メソポタミア文明時代に栄えたシュメール人の経典の中に「虫の伝説」という項目があり、呪文を唱えれば歯を害する虫を殺すことができると記されています。

一方、日本では虫歯の正体は、明治時代になるまで全く分かりませんでした。歯茎が痛んで腫れ、熱を持ち、あごの周囲がまるで蒸されているかのようになるので「蒸し歯」だという説もありました。

治療方法も、まじないの域を出ず「急急如律令」と紙に書いて口にくわえてかめば治るとか、絵馬を奉納するなど、神様まかせだったのです。

現代では、虫歯の原因も予防方法も分かっています。皆さんも虫歯になって痛い思いをしないよう、毎日の口と歯のケアを心がけましょう。

                               2009.2.11 中日新聞三重版掲載