歯のオアシス~PARTⅠ~ 宇宙飛行士も虫歯予防
きょう十日までは「歯の衛生週間」です。この時期には全国各地で歯に関するイベントが行われます。最近は虫歯は少なくなっていますが歯肉炎や歯並びの悪い子どもは増加傾向にあります。生活習慣が大きな課題です。
子どもたちの夢である日本人六人目の宇宙飛行士が今活躍しています。宇宙飛行士は難しい条件をパスして宇宙へ旅立ちますがその条件の一つに「虫歯のないこと」があります。
宇宙では虫歯になりやすく、そのうえ気圧の関係で地上にいるより歯が痛くなりやすいのです。また歯周病(歯槽膿漏)で歯茎が悪くては、宇宙飛行士の厳しい任務には耐えられません。
宇宙で歯が痛くなったら、まず痛み止めの薬を飲みますが、効かなかったら他の宇宙飛行士が歯を抜きます。歯を抜く資格があるのは歯科医師と宇宙飛行士だけです。
でも、そんなことになると大変ですから宇宙飛行士は虫歯にならないようにお口のケアをしっかり行っています。無重力状態で体を固定しないで歯ブラシを動かすと体が回ってしまうため、体を固定させて歯ブラシをこきざみに小さく動かしながら磨きます。うがいはそのままゴックンと飲み込みます。飲み込んでもよい歯みがき剤が利用されています。
かの清少納言は「枕草子」に二十歳前の女性が歯痛で顔を真っ赤にして苦しんでいる様子を描いていますし、小林一茶は「歯が抜けて あなた頼むも あもあみだ」の句を残しています。歯を全部なくしてしまい、もう阿弥陀様にすがるしかないという嘆きをユーモラスに表現したのでしょう。
古今東西、虫歯に悩まされた人は多数いらっしゃいます。みなさんもこの機会にお口の健康維持のため健診を受けてみましょう。
2008.6.10 中日新聞三重版掲載