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歯のオアシス~PARTⅡ~ 親知らず 抜歯は「痛む」前に

「親知らず」は抜かないといけないのでしょうか。抜いた経験のある人からは「腫れるよ」とか「大変だよ」と聞くので、何ともないならそのままにしておきたい、と思う人も多いかもしれません。

親知らずは、二十歳前後で生えてきますが、傾いていたり、半分歯茎に埋まっていたり、正しくかみ合っていない場合がほとんどです。歯磨きも難しいので、虫歯になりやすく、周りの歯茎が腫れて痛みを引き起こします。

症状がひどくなってから受診する人が多いのですが、そういう時にはすぐに歯は抜かず、飲み薬で炎症を抑えて抜歯します。つまり、痛くない時の方が抜き時なのです。

二十代は就職や結婚など生活上の大きな変化のある時期です。慣れない仕事に疲れがたまり、親知らずが腫れてくる。でも、そういう時にはなかなか仕事を休んではいられません。女性の場合、妊娠中や授乳中には使えない薬もあり、治療が制限される可能性があります。抜歯そのもののストレスも避けたいところです。

就活、婚活という言葉が流行ですが、そうした人生の節目を迎える準備の一つとして、親知らずの状態を調べ、トラブルが起こる前に抜いておく。あなたの人生設計に、そんな計画も組み込んでみませんか。

診療室から

親知らずは、歯の状態によって抜歯の難しさは異なります。上あごのものは比較的、楽に抜けることが多いようです。逆に下あごは難しいケースが多いです。事前のエックス線写真の検査によって難易度を推定して抜歯の計画を立てますが、口腔(こうくう)外科や病院歯科などを紹介することもあります。

抜歯の痛みは、麻酔と鎮痛剤でコントロールできます。術後の腫れには個人差がありますが、親知らずはのどに近いので、抜歯後にのみ込みづらかったり、開口障害が出たりする可能性があります。ただし数日腫れる程度でおさまる場合がほとんどです。


                               2009.9.10 中日新聞三重版掲載