歯のオアシス~PARTⅠ~ 口腔ケアで肺炎予防を
立秋を過ぎても今年の夏は異常なほどの暑さが続いています。
この時期は、水分補給をしないと熱中症などになりやすく注意が必要です。特に高齢者や寝たきりのお年寄りは、水分不足になると危険なことになる場合があります。
もともと高齢者や義歯を入れている方は、つばが減少気味になりお口の中のばい菌が増え、また食べ物がのみ込みにくくなります。人が食べ物を口に運び、かんでのみ込む機能を摂食嚥下機能と言いますが、老化や脳卒中などさまざまな病気による障害でこの機能が低下することがあります。
すると、食道に入るはずの食物などが気管から肺に流入して肺炎を起こすことがあります。これが誤嚥性肺炎です。実は高齢者の死亡原因のトップは肺炎で、その半分近くがこの誤嚥性肺炎とも言われています。
誤嚥性肺炎の予防は、まず口腔ケアです。歯を磨いたり、うがいをして口の中を清潔に保つとともに、清掃の刺激が脳を活性化します。口の中をきれいにしただけで肺炎を起こすことが半分になることもあります。
また、食事はベッドの上ではなく、なるべく食卓でとるようにしましょう。ベッドの上でとる場合でも背板を起こして、座った姿勢を保つことが重要です。また食べた後、すぐ横になることも避けましょう。
食べ物としては、嚥下障害の程度に合わせてきざみ食やとろみ食などがあります。かみにくいものや、ぱさぱさしてまとまりにくい食材は避けましょう。
誤嚥防止のためのさまざまな機能訓練も有効です。もともと老化でのみ込む力も衰えるのですが、訓練で回復させることもできます。
ただし、調理方法や機能訓練は、個々の方の嚥下機能の程度に合わせる必要がありますので、ぜひ専門家にご相談ください。まずは口腔ケアで口をきれいにして暑い夏をのりきりましょう。
2008.8.12 中日新聞三重版掲載