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歯のオアシス~PARTⅡ~ 口腔がん 早期発見のために

歯科医師がかかわるがんは、口腔(こうくう)がんと呼ばれ、舌のほか、歯茎やそのほかの口の中の粘膜等にできるがんがあります。

すべてのがんの中で口腔がんの占める割合は3%程度で、それほど多いものではありません。咽頭(いんとう=鼻の奥から食道の入口まで)を含めた口腔・咽頭がんの死亡者が、この十五年で二倍になったというデータもあります。

口腔がんの治癒率は中等度で、五年生存率が六〇から八〇%ですが、初期のがんでは九〇%以上の生存率も報告されています。他のがんと同様に「早期発見・早期治療」が大切です。

口腔がんは歯科口腔外科や耳鼻咽喉(いんこう)科、頭頸部(けいぶ)外科等で治療しますが、一般の歯科診療所等で相談すれば、必要に応じて専門医に紹介されます。専門医での治療は、手術、放射線療法が中心で、化学療法を併用する場合もあります。

進行した口腔がんは、舌やあごの一部を切除する場合があります。歯や口は食べる、話すといった機能にかかわるため、治療後の生活の質への影響が大きくなります。これを回復することも歯科医療の重要な役割です。

最近では、口腔がんに限らず、抗がん剤治療時に起きやすい口のトラブルを防ぐ口腔ケアも注目され始めています。

診療室から

口の中は、胃や肺などの内臓のがんと違って、直接見ることができるので、自分で発見することもできると言われています。しかし、鏡を使っても自分の口の中を観察できる範囲は限られていますし、よほど注意深く、続けて観察していないと判断は難しいかもしれません。

がん検診も一つの手段ですが、かかりつけ歯科医師を持っておくと言うのが一番、有効かもしれません。虫歯の検診や歯周病の管理で通院している場合でも、歯科医師は口の中全体に目を配っています。自分で気になる症状があった場合も、気軽に相談できるのではないでしょうか。


                               2010.1.25 中日新聞三重版掲載