歯のオアシス~PARTⅠ~ 食べることは生きること
お正月は、おせち料理やもちなど硬くて粘っこい食材が多いです。歯が抜けたり、かぶせものが取れたり、入れ歯が壊れたりした方もいたのではないでしょうか。私たちの永久歯は一度抜けると二度と生えてくることはありません。
動物のアルマジロ、カンガルー、コアラなど一度生えた歯が全く生え変わらない動物もいます。しかし中には、歯が何度でも生えてくる動物もいます。
ワニやヘビなどの爬虫類は歯が欠けたり抜けたりしても、また新しい歯が生えてきます。サメにいたっては、たった一カ月ですべての歯が生え替わる時もあると言われています。
私たちにとっては、うらやましいように思えますが、必ずしもそうではないのです。実は、生え替わる生き物の歯と、私たちの歯には大きな違いがあります。生え替わる歯はとがったものばかりで、獲物を捕らえるための道具にすぎません。
しかし、私たちには食べ物をかみ切る前歯、ひきちぎる犬歯、そしゃくして飲み込むための奥歯という三種類の歯があります。そのため食べ物を口にした時に、歯応えや舌ざわりが楽しめます。
また、生え替わる歯には根っこがないので、非常に抜けやすいのです。歯の根はいわば木の根と同じようなもので、根がなければすぐ倒れてしまいますが、私たちの口の中には、歯が抜けないように歯の周りを取り囲む歯槽骨があります。しかし、この歯槽骨も歯周病にかかると、根っこが溶かされ、歯がグラグラしてきます。
言い換えれば、これは私たちの歯がサメのような歯へと退化する病気なのです。私たちの歯は一度しか生え変わりませんが、ことし一年も歯とお口のケアをきちんとして歯応えや舌ざわりを楽しみながら快適な生活を送ってください。
2009.1.11 中日新聞三重版掲載