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歯のオアシス~PARTⅡ~ インプラント 長所多いが万能ではない

ここ数年、インプラントという治療法が普及するようになりました。インプラントとは歯を失った場合に、それを補う方法の一つです。かなり以前から取り組まれてきたのですが、チタンという骨とくっつく素材を使ようになって信頼性が高まりました。

従来の歯科治療では、取り外し式の入れ歯や、固定式のブリッジのように、ほかの歯などを支えにして、歯の頭の部分だけを補ってきました。インプラントは人工歯根とも呼ばれるように、まず人工の歯の根をあごの骨の中に埋め込み、そこに歯の頭の部分(冠)を装着します。入れ歯やブリッジに比べ、ほかの歯に影響を与えることが少なく、自然の歯に近い感覚で物をかむことができるなどの長所があります。一方、あごの骨に穴をあけて、人工物を埋め込むためには手術が必要です。従来の治療より手間も費用もかかるし、あごの骨の状態や全身状態によっては、手術そのものができない場合もあります。

ある面では非常に優れた方法ですが、「歯がなくなってもインプラントをすれば大丈夫」という夢のような技術でもありません。失った歯をどうやって補うのかは、それぞれの口の状態に適した、より良い方法を慎重に選択するべきです。

診療室から

ほかの歯はすべて健康で、けがなどで一本だけ歯が無くなってしまった場合はインプラントが有効な場合が多いでしょう。

逆に、既に虫歯や歯周病で複数の歯を失っている場合は、そうなった原因(ブラッシングや生活習慣の問題等)を改善した上で、インプラントを行う所だけでなく、口の中全体に目を配った治療の計画を立てなければうまくいきません。

治療後も、入れ歯やブリッジと同様かそれ以上に、継続的なケアが大切になります。かかりつけの歯科医師とよく相談して、長期的な計画を立てて取り組みましょう。


                               2010.3.10 中日新聞三重版掲載