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歯のオアシス~PARTⅡ~ 高齢者 歯の根の虫歯に用心

一般的に虫歯ができやすい場所は、歯のかみ合わせの面(溝の部分)や、歯と歯の間の面などです。高齢者は、歯と歯茎の境目から歯の根の部分にできる「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれる虫歯が多くなってきます。

歯周病の影響や年齢を重ねたことで、本来は歯茎に覆われていた歯の根元が露出してくることがあります。歯の頭の部分(歯冠)は、エナメル質という比較的抵抗力のある層で覆われていますが、根の部分にはそれがないため、虫歯になりやすいのです。

神経を取った後の歯や、ブリッジの支えになる歯には冠がかぶせてあります。冠は歯の根元の部分までを覆っていますが、冠と歯のつなぎ目の部分から根面う蝕が進行することもあります。

高齢者は唾液の量が少なくなることも根面う蝕が増える原因です。唾液には、虫歯を防ぐ力があります。糖尿病などの影響や、さまざまな薬の副作用で唾液が出にくくなると、虫歯に対する抵抗力がとても弱くなってしまいます。

唾液の分泌はかむことによって促されるので、食事がうまく摂れない要介護者の場合は、唾液が減る傾向がさらに強くなります。高齢者のケアでは、口が渇くことを防ぎながら、根面う蝕を予防することが大切です。

診療室から

歯の根の部分の虫歯も、小さなものであれば普通の虫歯と同じように、感染した部分を削り取って、接着性の材料を詰めて修復します。ただ根の部分はエナメル質に比べ接着させにくいので、治療がやや難しくなります。

根の部分がぐるりと虫歯になってしまうと、詰める治療だけでは歯が折れてしまう可能性があります。そのため神経を取って冠をかぶせる治療を選択する場合もあります。

根面う蝕の予防には、子どもの歯と同じようにフッ素の利用が効果があるとされ、詰める材料にフッ素を含ませたものも利用されています。


                               2009.12.27 中日新聞三重版掲載