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歯のオアシス~PARTⅡ~ 歯周病・大人も検診を

歯周病と歯槽膿漏(しそうのうろう)。どちらの言葉になじみがありますか。現在は専門家の間では、歯周病と呼ぶことがほとんどです。以前は歯槽膿漏と言っていたのに…。では歯周病と歯槽膿漏は同じものなのでしょうか。

歯槽とは、歯が植わっているあごの骨のくぼみのことで、歯を支えている骨を歯槽骨と言います。歯槽膿漏とは、文字通りその歯槽から膿が漏れてくる状態を指した言葉です。一方、歯周病とは歯を支えている歯槽骨や歯肉等の歯周組織に起きるトラブル全体を指した言葉です。病気が歯肉だけにとどまっている状態を歯肉炎、骨にまで影響が及んだ状態を歯周炎と言います。歯周炎は軽度・中等度・重度に分けられ、膿が出るのは中等度以上の歯周炎で見られる症状の一つです。

歯周病は初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため以前は、進行した歯周炎になって初めて治療が行われることが多かったのです。しかし、一度傷んでしまった歯周組織を元に戻すことは難しく、歯肉炎か初期の歯周炎の段階で治療する方が効果的です。歯槽膿漏の状態になる前に、病気の発生に気づき、適切な治療を行うという意味でも、歯周病という言葉が定着してきたのです。

診療室から

自分では気がつきにくい歯肉炎や初期の歯周炎でも、歯科医師など専門家による診査や簡単な検査で発見することができます。

小中学校や高校などでは、毎年歯科健診があって、早めに病気の兆候を見つけることができますが、大人になるとそうした機会が少なくなります。また、虫歯が少なくて歯科と縁遠い方が、意外と歯周病が進行しているのに気がつかない、というケースもよくあります。最近は市町村等で、四十歳、五十歳などでの健診を行うところが増えています。こうした機会も活用してください。


                               2009.9.24 中日新聞三重版掲載