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歯のオアシス~PARTⅡ~ 高齢者の口腔ケアの大切さ

高齢者が元気に過ごすためには楽しく食事をして、しっかり栄養を取ることが大切です。そのためには、歯と口が健康でなくてはなりません。しかし、年を取ったり、病気の後遺症で介護が必要になったりした場合は、元気な時と同じように、歯みがきなど自分自身で健康管理を続けることが難しくなります。

また、高齢者は唾液(だえき)が減少したり、口の周囲(舌や口唇、ほおなど)の筋力が低下したりすること(口腔機能の低下)も多く、いっそう虫歯や歯周病が進みやすい状態になります。

二〇〇六年からは介護保険でも、介護予防サービスのひとつとして「口腔機能の向上」が導入されました。要介護者の口の中を清潔に保つことに加え、口の周りの体操(筋力トレーニング)などが広まってきています。多忙な介護の現場でやや後回しにされてきた「歯と口の健康」が大きく見直されています。

口腔ケアと口腔機能の向上を図った結果、高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎が大きく減少したというデータもあります。肺炎は高齢者の体力を奪う大敵。これを防ぐことは大きな意味があります。最近はインフルエンザなどの感染症予防の効果も期待され、研究が進められています。

診療室から

虫歯が放置されていたり、歯が抜けたりしたままで、要介護状態に陥ってしまうと、口腔ケアも十分な効果が得られません。

通院して治療を受けることが難しい患者さんたちのために、訪問歯科診療が普及してきてはいますが、訪問診療では大掛かりな治療は難しく、限界もあります。

急な病気で体が不自由になってから、あわてて歯や口の状態を改善しようとしても大変です。やはり常日ごろから、自己管理と専門家による診療を両輪に、トラブルの少ない「歯と口」を維持して、万が一に備えておくのが一番です。


                               2009.11.25 中日新聞三重版掲載