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高齢を謙遜(けんそん)して「いたずらに馬齢(ばれい)をかさねまして」と表現することがありますが、歯は年齢と同じ意味に使われます。
犬馬の歯(よわい)ということばが漢文にあるそうです。「予は犬馬の歯をかさねて七十二になる」。このように使うのだと、作家の司馬遼太郎さんは例を挙げていました。
歯の健康が年齢に直結しているひとつの証しと言えるかもしれません。ほかにも、歯が年齢の意味で使われる用語に「歯次」「歯長」などがあります。普段、見慣れない言葉なので、このままでは意味がよく分かりません。しかし「歯」を「年」に入れ替えてみてください。「年次」「年長」となり意味が明白になりますね。
考古学者が古代人の調査をする時、まず歯に注目します。他の部分の破損があっても、歯は比較的保存状態が良好ですし、歯にはその人の生活史が刻まれているからでしょう。
磨耗状態、虫歯の状況、歯並び、大きさなどから古代人の年齢、人種、食生活や他に色々な事柄が調査できます。
警察の身元調査では、歯が重要な決め手になることは知られています。捜査技術が進歩した今、歯の磨耗状態、着色、神経が入っていた空間の大きさ、再石灰化などさまざまな要素が法歯学の見地から検討され、多くの事件が解決されてきました。
これも歯が年齢や健康状態と直接関係しているからこそ可能といえるでしょう。歯と同じく歯茎も年齢や健康状態を推定するために重要な材料となるそうです。歯茎は年齢とともに退縮する傾向があり、歯周病の進行とともにその程度も大きくなるのです。
このように歯や歯茎は命の証し。口の健康はそのまま生命や顔かたちに影響します。常日ごろから口のケアを怠ることなく心して「歯(よわい)」を重ねてください。 |
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