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PARTⅡ |
ごく初期の「虫歯」は、治療しなくても、唾液の力で治る―。最近、そんな夢のような話をテレビや新聞でたびたび目にするようになりました。
「あの大嫌いな、むし歯を削ってつめる治療をしなくていいの?」と喜んだ方も多いでしょう。
一方で「じゃあ、今までは、治療しなくても治ったかもしれない虫歯を、わざわざドリルで削ってたの?」と思った方もいるかも知れません。
それはちょっと違います。正確に言えば、以前は削って詰める必要がないから「虫歯」とは呼ばなかった状態でも、「これはごく初期の虫歯とみなし、進行しないようにしっかり管理していくことが大切だ」と、考えるようになったのです。
しかし、削って詰める必要があるかないかを見極めるのは、診断技術が進歩した今でも、とても難しいことです。また、「進行しないようにしっかり管理する」という、当たり前のことも難しい。これは歯科医師だけがいくら頑張っても、成功しない、患者さんの理解と協力があってこそ実現する「夢のような話」なのです。
どんなに予防歯科医学が発達しても、やはり歯磨きは大切。そして、食生活を含めた生活習慣の改善が、成功の鍵を握っています。 |
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歯を形作っているカルシウムやリンは、食事などのたびに、ごくわずかずつ溶け出したり(脱灰)、再び取り込まれたり(再石灰化)を繰り返しています(図参照)。
食べたり飲んだりした後には、口の中が酸性の状態になり、歯の脱灰がはじまるのですが、ある程度の時間がたつと、唾液などの働きによって中性化されるため脱灰は止まり、今度は再石灰化がおきて、歯が修復されます。
食事の時間が不規則だったり、間食が多かったりすると、再石灰化が不十分なまま脱灰が起きてしまうため、虫歯になると考えられています。 |
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