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PARTⅡ |
歯や口のトラブルから起きる痛みはさまざまありますが、中でも激しい痛みを伴うのが歯髄炎(しずいえん)です。
虫歯も初期の段階では痛みはないか、冷たいものがしみる程度。虫歯のせいで歯の中にある神経(歯髄)に刺激が伝わりやすくなってしみるのですが、神経そのものは正常な状態です。
ところが細菌感染が歯髄まで及ぶと、激しい痛みを引き起こします。これが歯髄炎。進行した場合、元に戻すのは難しく、「神経を取る」処置をすることになります。神経を取ってしまえば激しい痛みはなくなりますから、随分楽になります。
しかし本来、歯は神経があって生きているもの。神経を取った歯は、その後の修復治療も大掛かりになり、将来のトラブルの可能性も高くなります。歯科医師が「神経を取ります」と伝える時は、やむを得ない選択だと知ってください。痛みに泣くのは患者さんですが、歯科医師は神経を取らなければならなくなったかわいそうな歯のために涙を流しているのです。
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虫歯の状態によっては、神経を残せるか残せないか、微妙な場合があります。虫歯の経過や症状、患者さんの年齢などから判断するのですが、神経を残すのを試みる選択をすることもあります。「歯髄覆(しずいふく)とう」という治療です。
細菌が入り込んだところまで虫歯を取り、神経に刺激が伝わらないように封鎖して経過を見ます。もし後からしみたり痛みが生じたりするようなら、その時点であらためて神経を取る治療をします。一度で痛みがなくなる治療ではありませんが、歯のためには有効な選択肢の一つです。
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