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PARTⅡ |
酸蝕歯(さんしょくし)とは、何だかとてもおどろおどろしい感じがします。この言葉はずいぶん古くから歯科医師の間では知られていました。
メッキやガラス工場などで働く人たちは、酸性のガスに触れることが多いため、歯の表面が溶ける場合があります。酸蝕歯はこうした一部の職業の人に特有の病気とされていましたが、最近あらためて注目されるようになってきました。ごく普通の日常生活を送っている人の歯にも、酸蝕が原因と思われる歯のトラブルが少なくないことが分かってきたのです。
虫歯は細菌と糖が原因となって起きます。しかし、酸蝕は細菌がなくても、酸の影響だけで歯が溶けたり、穴があいたりします。酸も特別なものではありません。コーラなどの炭酸飲料、健康に良さそうな飲用酢やスポーツドリンク、チューハイやワインも原因となり得ます。
ミカンなどのかんきつ類を過剰に取る習慣や、胃酸の逆流のせいで酸蝕がおきる人もいます。「酸蝕歯」という恐ろしげな言葉は、意外に身近なものだったのです。
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歯の表面が溶けている酸蝕歯の症状が見つかった人は、原因を突き止める必要があります。前述した酸性の飲食物の取り過ぎのほか、硬い歯ブラシや研磨剤の多く含まれた歯磨き粉で強く磨きすぎること、歯ぎしりも症状を進行させます。まず、そうした習慣を改めましょう。
溶けてしまったり、穴があいてしまった歯は、虫歯と同じように修復します。症状が軽い場含は、歯と同じ色の材料で詰めて治すことも可能ですが、溶けた範囲が広い場合は、冠をかぶせる場合もあります。 |
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